医師の幇助による自殺の権利を保証か
カナダで安楽死を合法化させる法案が起草され提出されたそう。今週木曜日、カナダの国民放送協会CBCとロイター通信など各国メディアが伝えました。
http://www.cbc.ca/news/politics/canada-physician-assisted-death-law-1.3535193
この法案によって、治療不可能の重度の病を持つ患者が医師との相談をもとに、安楽死を選択できる権利が保証されます。
もちろん全ての人に適用されるわけではなく、自ら死を選ぶ条件として
①病が耐えられない苦痛を伴うこと。
②治療が困難であること。
③退化性であり、回復の見込みがないこと。
この3つが条件になるそう。加えて
①未成年者
②心的病の患者
③カナダ国民ではない人
は安楽死の手続きが受けられないとのこと。特に③に関しては安楽死の治療を受けるためのカナダへの渡航を制限するものです。
この法案は6月にも可決することが見込まれています。
すでに去年の最高裁の判決で医師の幇助による安楽死を認める判決が出ており、今回の法案の実施はほぼ決まっている模様。
自身の父親もガン治療を拒否している首相のジャスティン・トルドーは、今回の法案に関して
“カナダ国民はこの問題に関心があるのは確かだよ。”
“個人レベルの問題にもなってくるよ。家族、恋人、友人。死と直面するということだから。それと同時にカナダ人の権利リスペクトするものでもある。”
世論調査ではすでに高い支持を得ていますが、政治家の間では死を選ぶという権利を尊重する一方で、精神的、肉体的に弱っている国民を何らかの対策を講じることでもっと守っていかなければならないとして意見にばらつきも見られるよう。どちらにせよ、さらなる理解が必要なことは確かのようです。
ケベック州ではすでに合法化
ケベック州では去年12月からすでに独自の法案を可決し、安楽死は合法化されています。すでに最低でも1人の患者が手続きをし、治療を受けました。
http://www.cbc.ca/news/canada/montreal/medically-assisted-dying-quebec-1.3536437
医師としてインタビューに応じたAlain Naudさんは
“これは全く新しいものなんだ。患者にとってだけではなく、もちろん医師にとっても”
同氏は、実際の安楽死を望む患者のケアへのベールを取り払い、苦痛から解放させてあげたいそうだ。
“それはとても静かに起こるんだ。数分で。とても平和なものだよ。”
安楽死手続きの完了から、15日の”Reflection Period”が設けられ、この間であればいつでも手続きを取り下げることができる。
しかし、人権団体”Dying with dignity”などは今回の法案があまりに曖昧な定義しか兼ね備えていなく、限定的過ぎるとして非難している模様。その他にも安楽死自体に否定的な考えをもつ団体もあり、これからも議論は避けられないだろうとされています。
カナディアンの反応は?
では、現地の人たちはどう思っているのでしょうか?CBCからコメントをピックアップしてみました。
- 可決されるまでながいなぁ、自分の命を所有してるのは自分だけ。
- 自分も高齢者として、耐えられない痛みに耐え、尊厳を失ってまで生きなければならないという必要がなくなるのは幸運なことだよ。死は恐れてないけど、痛みを恐れているんだ。
- もっとうまくやれたかかもしれないけど、正しい方向には進んでいるね。
- グッド。はやく可決しろ。
- この法案で多くの人の痛みを避けることができるだろうね。
- だれも苦しんでる人をみたいなんて思ってないよ。
- 政府がいかに機能性があるか、カナダ人のマジョリティの意見を汲み取っているかがわかるね。エクセレント。
- この類の治療に関して保険会社が保険金を渋らないようにしてほしい。
と、大方賛成の意見が見られました。しかし、安易な安楽死には反対している人が多く、許可するにあたっての見極めが重要との声も。
オランダ、ベルギー、ルクセンブルクのベネルクス3国、スイスの欧州諸国とアメリカの一部の州ではすでに合法化されていますが、年齢や条件などは地域によって異なります。これからカナダがどうこの問題に向き合っていくかは注目です。