カナダで来春から大麻合法化。果たして実現するのか&現地の反応は?

既にご存知の人が圧倒的多数かもしれません。カナダで来春2017年をデッドラインとして大麻の使用を合法化する法案が提出されるそう。大麻合法化への大きな一歩と各紙報じています。しかし、本当に実現されうる法案なのでしょうか?また現地の反応は?

概要

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大麻の使用は一種のイデオロギーとして長年にわたって社会運動を引き起こしていました。それに代表されるのが4/20にあたる”Weed Day”。多くの大麻愛好家がトロントの中心地、ダンダス・スクエアを煙で真っ白にしたのは記憶に新しいことでしょう。今年のWeed Dayはそういった愛好家たちにさらに素敵なプレゼントを用意していたのです。麻薬問題に関する国連総会でカナダのフィルポット保健相は

「2017年春を目安としてマリファナの合法化に関する法整備を整える。」

と述べたのです。理由としては大麻規制が思ったような成果を上げないこと、治安の向上を狙ってとのことだそう。また、今回の新法案は科学的根拠に基づくものであり、かつ未成年の使用禁止、違法に収益を上げることのできないよう先進国として最大限の努力をしていくと述べました。

米コロンビア州では既に合法化。マサチューセッツ州、カリフォルニア州でも同様の動きが見られています。

本当に実現されるの?

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Michael D’Alimonte氏のブログでは、「カナダ人が2017年合法化に関して知るべきこと」と題してその実現性について論じています。まず、この新法案は2017年春までに実現される、という意味ではないと。
今回のスピーチでは、具体的なマリファナの供給、使用に関するルールなど具体的なものには触れておらず、娘を薬物で亡くした母親の話を取り上げるなど少し感情的な部分に走り過ぎた感も否めないとのこと。実際、首相は選挙キャンペーン中、この娯楽用大麻の合法化を公約に掲げていたにもかかわらず就任から数ヶ月何の動きもなかったことに関して、対応の遅れのせいで多くの人々に犯罪歴を与えたとして野党側からの非難もあるそう。
実際、世間が騒ぐほど大麻合法化への道は簡単ではないと。実際に法案は準備してきているのだが、これは長いプロセスの始まりであるそう。たとえ多数与党であっても気の遠くなるような手続きは必要な上、国王からの承認も必須。

先ほども述べたように、供給や税の問題も含めやることは山積みであるため、2017年春という期限でさえ先延ばしになりうるということでした。

現地の反応は?

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「大麻関連の犯罪に関与した人々を抑圧し続けることは長い視点で見れば本質を解決しない」として先進国として新しいアプローチを提案したカナダ政府。今回の一連の法案、合法化に関してカナディアンはどう思っているのでしょうか?CBCから反応を拾ってみました。

http://www.cbc.ca/beta/news/politics/philpott-un-marijuana-legislation-legalize-1.3544554

ようやくこの難しい問題に取り組む勇気を持つことができたね。
マリファナを未成年と犯罪者から遠ざける、伝統的言葉である”禁止”と全く逆のものだ。
新たな産業が生まれたね。保守党の首は飛んだようなものさ。
保守党が大麻合法化が社会に利益をもたらすということに気付いてくれるように望むよ。
4月20日に発表とかウケるわ。
正しく実行するための時間をとろう。次の4月20日にきちんとなってるようにね。
1年も?そんな長い時間を要するってオタワで何が起こってるの?
良いニュースだね。ジャスティンがんばれ。
1人には小さな一歩だが、人類には大きな飛躍だよ。成人に達したカナダ人は選択肢を持つべきだ。

自由の国では納得のいくことだよ。
禁止は終わり。課税は良い事だ。マリファナは合法、お金も入ってくる。
正しく理解することが、導入にはとても重要なこと。
完全にポットスモーカーの固定概念を楽しんでいるよ。残念なことに彼らは常に近くにいるんだ。警官、弁護士、先生、エンジニア、建築家、ナースも医者も。どこにでも。
一方で、これ以上大麻関連で牢屋に入れるのを止めるべきだよ。全員牢屋から出すべき。
4/20、カナダにとって幸せな日!


保守党はまた遅れをとったね。もう前のような大麻に対してのアプローチはうまくいかない。
と、大方賛成の模様。日本人には少し考えづらいかもしれませんが、大麻使用はカナダでは一般的なことでトロント市内を歩けば大麻の匂いが鼻に付くことも多々。首相のジャスティン・トルドー氏でさえ数回使用したと認めています。(あまり好きではないため止めたらしいですが。)

法的にもまさにグレーゾーンといったところで今回の娯楽用大麻の使用の合法化は白黒つけるという観点から支持を得ていることが伺えます。マリファナ取り締まりに向けて先進国として初の新しいアプローチを提示しようとしているカナダ。これからに注目です。

中西一樹

中西一樹

1994年生まれ。大学ではメディア専攻。2015年9月からワーホリでトロントへ。FC.TokyoとTottenham Hotspurのファン。